日本基督教団 高井戸教会

教会だより

  1. ホーム
  2. お知らせ・教会だより
  3. 教会だより
  4. 高井戸教会だより 51号

高井戸教会だより 51号

教会だより

「お言葉どおり、この身に成りますように」

~神からの出来事としてのクリスマス~
– ルカによる福音書 1章26~38節-

高井戸教会 牧師 七條 真明

高井戸教会の教会学校および付属幼稚園のクリスマス礼拝では、子どもたちが演じるペイジェント(キリスト降誕劇)が行われます。しかし、必ずしも自分がなりたい役になれないということで、子どもたちの心にも複雑な思いが生まれることが多々あるようです。特に女の子の中には、マリアの役になれなくて泣いてしまうような子も出てきます。マリアこそ、まさに主役であると思うところがあるからでしょう。

ルカによる福音書1章26~38節は、天使がマリアのもとへとやって来て、神のご計画を告げ知らせた、しばしば『受胎告知』と呼ばれる出来事を伝えている箇所です。

天使の突然の出現に、恐れと戸惑いの思いを抱かずにおれないマリアに、天使は言います。「あなたは身ごもって男の子を産むが、その子をイエスと名付けなさい。その子は偉大な人になり、いと高き方の子と言われる。神である主は、彼に父ダビデの王座をくださる。彼は永遠にヤコブの家を治め、その支配は終わることがない」。

天使は、旧約聖書の御言葉を引用しつつ、神の大きな救いのご計画の中で、メシア、救い主が王ダビデの子孫としてお生まれになること、そしてその救い主到来の約束が今まさに実現することを語ります。

『受胎告知』の場面は、ペイジェントでも、天使の言葉に応答してマリアが独唱し、前面に出て来る一つの見せ場だと言えます。けれども、『受胎告知』の出来事の中心に立っているのは、マリアではないことを天使の語る言葉が明らかにしています。

この聖書箇所の中心に立っているのは、ここではまだ姿を現されてはいない、しかし、天使を通して語られる、神の救いの約束が今まさに実現することを明らかにする言葉の中に立っておられる方、救い主イエス・キリストです。主イエス・キリストこそが、『受胎告知』の出来事の中心に立っておられる方であり、ペイジェントのただ一人の主人公、主役であられる方です。

マリアが、クリスマスの出来事において、特別な役割を果たすことになったのは確かです。救い主の母になるという役割は、マリアだけに許されたものだからです。けれども心に留めるべきは、マリアもまた、聖霊によって自らが身ごもるイエスという御方によって救われるべき一人の罪人として、ここに立っている。それゆえに、クリスマスという大いなる神の救いの出来事の証人の一人になった人なのだということです。

マリアもまた、この出来事を俄かに信じることはできませんでした。「どうして、そのようなことがありえましょうか」と言わざるを得なかったのです。しかし、天使が語った「神にできないことは何一つない」という言葉、この出来事が「神からの」出来事であるということを聞き、マリアは受け留めることができたのです。

マリアは、神からの出来事にまさに巻き込まれるようにしてクリスマスの証人となりました。救い主イエス・キリストのご降誕という出来事が、この自分を目指して神が起こしてくださった出来事であることを知る時、私たちもまたマリアと共に、この神の救いの出来事の中に立つのです

「わたしは主のはしためです。お言葉どおり、この身に成りますように」。クリスマスの喜びが皆さまの上にありますように。