日本基督教団 高井戸教会

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高井戸教会だより 4号

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説教 「復活の主の創造力」
ヨハネによる福音書20章24-29

牧師 内藤 留幸

主キリストが十字架にかかって死なれた時、主を裏切って逃げてしまった弱虫な弟子たちが、どのようにして殉教も恐れないたくましい使徒に生まれ変わることができ たのか という問いは、聖書を熱心に読 みはじめてから長い間私の胸にあった。それがある時、眼から鱗が落ちるように解決された。弟子たちは死の力に勝利された復活の主に出会って、実にみずみずしい新しい生命の力を与えられ、まさに生まれ変わ ることができたのである。その時以来、弟子たちは自分たちを復活の証人と呼ぶようになり、福音伝道に励んでいったのである。

ただ注意しなければならないことがあ る。主イエス・キリストが十字架に死んでよみがえったという復活の出来事は、弟子たちが待ちに待って、ついに復活の主に出会ったということではなく、はじめは弟子たちもなかなかキリストの復活を信じられ なかったのである。けれども、復活の主は、支え手を失い、落胆していた弟子たちのところに来られて、懇ろに語りかけられ、深い愛のみ手をもって彼らを立ち上が らせて下さった。それ故、彼らは信仰を強められ、たくましい信徒に生まれ変わっていったのである。

12弟子の中で、トマスは一番最後まで主キリストの復活を信じなかった人である。彼は疑い深い人だったのであろう。しかしながら、彼はひとたび復活の主キリストに出会い、主に捉えられると、今度は最もすばらしい『わが主よ、わが神よ』との信仰告白を後世の教会に残した弟子であった。

彼は主イエス・キリストの十字架の死と復活が十字架にかかられる主を見捨てて主のもとから逃げてしまった自分、しかも、弟子たちの中で最後まで主の復活を信じることができなかった罪深い自分のためであることを知った時、もう居ても立ってもいられない思いになり、遠くインドまで行って、生命がけで福音伝道に励んだ人なのである。(現在、インドのキリスト教会は聖マス教会と呼ばれている)

トマスは、主キリストが復活されて弟子たちの群に現れた日、そこにいなかった。彼は8日も遅れてやっと弟子たちのところに戻ってきたのである。彼は多くの信じる者の中にいながら、自分だけが信じることができないという切ない思いであったのであろう。

その思い悩むトマスをめざして復活の主は現れ、彼に語りかけられたのである。『信じない者ではなく、信じる者になりなさい』……と。

生ける復活の主キリストは今もたえず礼拝に臨まれ、迷える一匹の羊を探し求めたうな人がいることを決して見逃されず、その人のところへきて語りかけて下さる。特にいろいろ思い悩んで教会から離れようかと迷っている人や、洗礼をうけることを躊躇している人のところへやって来られて『信じなさい』と祈りをこめて語り、励まして下さる。私たちはこの主のみ言葉をきき『わが主よ、わが神よ』と心からの信仰告白をささげたいものである。